イタリア文化に魅了され、何よりもイタリア料理が好きなら、絶対に知っておきたいイタリアの食習慣 ー それは食後に苦味のあるリキュールを飲むこと。
家族経営のレストランからミシュランの星付きレストラン、また休日の家庭でも、食後に香草や薬草、スパイスなどを蒸留酒に浸けた苦味のあるお酒を嗜むことができます。
今回はワインから少し離れて、イタリアの苦味のあるリキュール「アマーロ」の歴史と、それがどのように親しまれているかについて、見ていきましょう。
アマーロの歴史
アマーロは、イタリアではいつ頃から飲まれるようになったのでしょうか?
歴史学者によると、既にローマ時代には、食後の消化を助け、胃腸疾患を治療する目的で、フェンネル、アニス、リンドウなど苦いハーブの混合物を調整したものが用いられていた記録があります。また、中世になると修道院の修道士たちが、消化を助ける仙薬として薬草を使ったエリクサーを作り、そのレシピが代々受け継がれてきたという説もあります。
いずれにしろ長い歴史がありそうなアマーロですが、当時の苦味酒はまだまだ飲みやすいものではありませんでした。
ルネッサンス期になると、製造技術の発達により、治療薬よりも嗜好品としての側面が色濃くなり、一般に広がっていきました。
アマーロの造り方
イタリアのアマーロは、ハーブ、スパイス、砂糖、アルコールから造られ、比較的アルコール度数が低いものが多く、通常のアルコール含有量は 20 ~ 30% vol 程度です。
原材料となるハーブやスパイス、ベリーや植物根を、レシピに沿って乳鉢ですり潰して混ぜ合わせ、食用アルコールの入ったガラス瓶に入れて数ヶ月浸け置きます。瓶詰めする前に濾過し、砂糖シロップを加えてさらに1ヶ月ほど寝かせたらできあがります。
おすすめのアマーロ
アマーロにはさまざまな種類があり、レシピも多様ですが、今回 TAPS が紹介したいのは バッフォトニコ (Baffotonico) とバルバトゥリコ (Barbaturico) の2種類です。
この2つのアマーロは、ロンバルディア州の大手酒問屋ぺッレグリーニ社の蒸留酒部門責任者である ダビデ・モノルキオ氏が、古いアマーロのレシピを数百余り研究し、最も興味深いハーブやスパイスをブレンドして造った、数量限定のプライーベートコレクションになります。
<バッフォトニコ/ぺッレグリーニ社>
バッフォトニコは、厳選されたベリー、草の根や花をゆっくりとアルコールに浸して造られます。アマーロの伝統的で刺激的な香りと風味(苦味)を最大限に引き出すため、砂糖の使用量は少量に抑えられています。
<バルバトゥリコ/ぺッレグリーニ社>
19世紀の街の広場で、曲芸師が「恋の病から虫歯まで、あらゆるものを治す」として販売していたと伝えられている伝説のアマーロレシピからインスピレーションを受けた バルバトゥリコ。26種類の原料を元とした長寿の秘薬をコンセプトにしており、そのデリケートでエレガントな味と香りは自律神経を整えたり、不眠の解消やリラックスに効果があります。
特に女性に人気です。
アマーロがお歳暮に?
イタリアでは毎食欠かさずに飲まれているアマーロですが、特に家族が集まるクリスマスなどのお祝いの時期は、お互いにアマーロを購入してプレゼントし合ったり、こだわる人は代々受け継いだレシピで自家製のアマーロを造り、手書きのラベルや丁寧な包装を施して、友達や会社の取引先に贈ることもあるそうです。
まとめ
このようにイタリアの食文化や贈り物に欠かせないアマーロ。元々の治療薬として飲まれていた苦味酒が、時代の変化とともに違った形で楽しまれる様になった、興味深い例の一つではないでしょうか?
お気に入りの1本を、ぜひ見つけてみてくださいね!